今日は気分を変えて特許の話です。
審査請求を行った特許出願は、審査官が審査を行い、まずは、拒絶理由通知が打たれます。
特許査定が出る場合もありますが(これを一発特許査定と呼んでいます)、そうも確率は高くありません。
一発特許査定については後日説明します。一発特許査定を喜ぶなかれと言う話です。
拒絶理由通知が来た場合、普通は、拒絶理由通知に応答します。
その後の審査官の反応は3種類です。
・特許査定→拒絶の理由が解消したと審査官が判断した場合。
・拒絶査定→拒絶の理由が依然として解消していないと審査官が判断した場合。
・最後の拒絶理由→補正書にて補正した結果、新しい拒絶理由の通知が必要と判断される場合。
・拒絶査定の場合、それでも特許をとりたいと考える場合は、高いお金を払って、「拒絶査定不服審判」を起こさないといけません。
・最後の拒絶理由の場合、ラストチャンスだと思ってもう一度練り直しです。
以上が面接審査を行わない場合です。
審判を起こさない場合はチャンスは多くて2回しかありません。
しかし、面接審査を使えば、チャンスはもっともっと増やせます。
どうして面接審査でチャンスを増やせるのかというと
面接審査で、審査官とのキャッチボールを行うことにより、審査官の考えるOK/NGの境界を探り出すことが出来るからです。
そのギリギリの境界範囲に特許権を設定できます。
特に最近、出願人からの面接審査の要求には、1回は応えなくてはならないと規則が変わったので、審査官は断れないのです。
特許庁の審査官の考えるナマの審査基準に触れることが出来ます
言い換えれば、審査官毎の考え方のデータベースを作ることが出来ます。
例えば、
・A審査官は基本的に厳しいが、心のなかでは特許を取らせたいと思っている。
・B審査官は基準がブレブレ。
・C審査官は他の審査官の意見に流される。
等々です。
私は数多くの面接をこなしたので、結構なデータベースが出来ています。
面接審査を行うには?
面接の要求は簡単です。代理人がいる場合は代理人経由で依頼します。
代理人がいない場合は自分で拒絶理由通知書に書いてある特許庁の内線番号に電話して、審査官に直接アポを取ればよいのです。
面接の準備は?
面接の内容は、技術説明でも良いのですが、私の場合は最終的にはいくつかの補正案を提示して、審査官の心証をうかがう形にします。
いくつかの補正案を提示するのがミソです。こうすれば、広い権利範囲から狭い権利範囲までのどこで特許になるかの目安を探ることが出来ますし、補正の言い回しで気になる点を審査官に相談しながら示唆を受けることも出来ます。
そのためには、面接の前日以前にFAXで、補正案、補正の根拠、どのように拒絶理由に反論しようとしているかを審査官に送ります(つまり補正書/と意見書案を送るようなものです)。
そのときには自分の考える一番権利範囲の広いものを提示して下さい。
次善の策は当日まで取っておきます。
審査官は、面接の前に必ず、それに目を通して、どのあたりなら特許査定を出せるかということを検討しておいてくれます。
面接は大体一時間ほどですが、ちゃんと審査官に資料を送っておけば、普通に応答するよりも必ず広い権利を取得できます。
余談
また、せっかく東京の特許庁に出張するのです。審査官に直接聞いてみたいことをドンドン尋ねてください。必ず答えてくれます。
また、そのとき、雑談でもよいので、自社も含めた業界の技術動向などを審査官にお話すればよいと思います。審査官も色々と知りたいのです。
拒絶理由通知はぶっきらぼうなのですが、それを書く審査官は、べつにぶっきらぼうではありません。逆にどちらかと言うと親切だと私は思っています。
ただ、面接に行くのに審査官が言われることが理解でないでは話になりませんので、少なくとも特許法の29条、29条の2、36条、17条などと言われて即座に理解できるくらいの知識は必要です。
条文を覚えなくても良いですが実務的に知っていることは必要です。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
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