特許庁内で審査官の異動はよくあることです。
別の分野の審査への異動とか、審査とは違う部署に異動とか・・・。
当然逆もあります。
普通は1つの案件について異動がない限り審査官は交代しません。
- (最初の)拒絶理由
- 最後の拒絶理由
- 特許査定もしくは拒絶査定
- 拒絶査定で審判請求された場合、前置審査
などが審査官がかかわる案件です。
普通は一貫して一人の審査官が関わります。
でも、異動ではないのに、審査官が交代したのです。
なぜでしょう?
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審査の経過
- 出願人:出願⇒請求項は1項
- 出願人:審査請求
- 審査官:拒絶理由
- 出願人:補正&意見書提出⇒請求項を独立請求項2項に増加
- 審査官:(最後の)拒絶理由⇒請求項1はOK。請求項2はNGという内容。
- 出願人:補正&意見書提出⇒独立請求項2のみを補正
- 別の審査官:拒絶査定(請求項1も2もダメよ)
以上の経過です。
解説(審査経過を解説します)
上の審査経過の中で、4番めで、私は、特許出願時の実施例のある部分を特許請求の範囲に加えれば、後発のメーカの製品を権利範囲に含めることが出来るということに気がつきました。
なので、後発メーカの製品が権利範囲に含められるように補正をして請求項2を書き加えました。
当然請求項1は拒絶理由に従って補正しています。
その結果5番目で審査官から
請求項1は拒絶の理由を発見せず。⇒つまり特許査定にしてもいいよってことです
請求項2は拒絶理由あり。
との拒絶理由をもらいました。
これを受けて6番目として、
請求項2に対する拒絶理由はユルい内容で、補正したとしても後発メーカの製品が権利範囲に含められるので、喜んで補正しました。
な~の~に、7番目で別の審査官から請求項1も2も合わせて拒絶査定を受けました。
確かにその拒絶査定の内容は、反論の余地のないほどにちゃんとした引例を提示するものでした。
その時点で、完璧に出願人の(つまり私)の負けです。
悔しいですが、負けは負けです。
(こういうゲーム感覚が知財の仕事の醍醐味だったりします)
誰が悪い?
振り返ってみると、5番目で審査官は請求項1は特許査定にしても良いって言っています。
なのに、別の審査官に拒絶査定にされました。
本来なら、出願人は激怒しても良い状況です。
なぜならば5番目の審査がザルだったってことですから。
責められるべきは5番の審査をした審査官です。
これを審査官の立場から解説すると
元の審査官が、6番の補正内容を見て検索してみると・・・。
「やっべー!やっちゃった!請求項1に拒絶の理由が無いって言っちゃったけど、これは特許査定にできないよ~!」
って言う状況に陥ったことは容易に想像できます。
「かと言ってここから拒絶査定にするのは申し訳ないし・・・」
という板挟み状態になったのも想像できます。
で、解決策として、審査官が交代したテイで、他の審査官に拒絶査定を発送してもらった。という訳です。
交代する理由が無いのは特許庁の人事情報で元の審査官に異動が無いのを確認しているからです。
以上のことは私の想像に過ぎませんが、多分そんなに間違っていないと思います。
結果として
まぁ、本来は審査が首尾一貫していないことに激怒する状況ですが、上に書いたような状況が透けて見えます。
バツが悪くて審査官を交代したのがなんとなくわかりますので、「クスっ」と笑えたことで許そうと思っています。(トシヲトッテマルクナッタモンダ)
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。<(_ _)>
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