トクする!栄太郎のブログ

特許、人柱としての報告や瞑想、たまに生命保険などなど、トクする情報を発信します。

【特許】「走れメロス」で知財部の特許の仕事を説明してみる

このブログの読者を増やすために、特許に関わりのない人も興味を持ってもらいたいと思い、企画してみました。

本来、特許は、発明を扱い、特許法で発明とは、

自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」

です。

でも、今回、知財のお仕事を理解していただくために「発明」を脇において、

「文学作品のあらすじが特許の権利範囲なら」

という架空の設定のもとに話をしたいと思います。

 

 

発端

知財部員の私(栄太郎)が仕事をしていると、最近、特許でブイブイいわせている開発部の太宰くんが話しかけてきました。

太宰「栄太郎さん、いい話を思いつきましたよ!」

栄太郎「なになに?教えてよ」 

太宰「友情と正義感のお話なんですけどね、ゴニョゴニョ~」

と太宰くんが「走れメロス」のあらすじを教えてくれました。 

私は、それだったら出願できると思い、検討することにしました。

 

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検索

早速、先願がないか検索します。

検索してみると、「wikipedia」というデータベースに、似た話として、

古代ギリシャの伝承とドイツの「シルレル」の詩
古代ギリシャピタゴラス派の教団員の間の団結の固さを示す逸話 

というのを見つけました 。

でも、栄太郎は、それらの先願があっても特許にできるだろうと判断し、出願することに決めました。

 

しかし、このとき、栄太郎は気づいていなかったのですが、未公開の文献として檀一雄の『小説 太宰治という文献があったのです。(伏線)

 

特許事務所に依頼

懇意にしている、ちくま特許事務所に、明細書の作成を依頼することに決めました。

ちくま特許事務所の腕利きのライターさんである、津島(太宰の本名)さんに依頼します。

当然、太宰くんの発言をまとめたものを書類にして手渡します。

特許請求の範囲(つまり、あらすじ)にいくつかの注文をしています。

 

そして、出来たのが次の明細書です。

 

明細書の内容

以下の内容は特許明細書だと思ってください。

特許請求の範囲

【請求項1】

 メロスは暴君ディオニス王に投獄され死刑を宣告されるが、

 石工のセリヌンティウスを人質にして、なんとか妹の結婚式に出席し、

 処刑されるために走ったり、ヒッチハイクしたりして帰って来たことを特徴とした走れメロス

 

【請求項2】

 請求項1に記載の走れメロスであって、

 暴君ディオニス王は人間不信であって、メロスが帰ってこなくても石工のセリヌンティウスを処刑すれば良いと思っていた事を特徴とした走れメロス

 

【請求項3】

 請求項1もしくは請求項2に記載の走れメロスであって、

 メロスは純朴な羊飼いで、いろいろ迷いながらも、ギリギリ期限内に帰ってきたことを特徴とした走れメロス

 

発明の効果

このあらすじだけでスジの通った正義と友情の良さを堪能できます。

 

明細書内容(実施例)

太宰治 走れメロス

著作権が切れたので無料で公開されているようです。

特許請求の範囲の内容を補強するように実際の物語が記載されています。

(まぁ、短編ですのでしばし読んで楽しんでください)

 

以上が明細書の内容です。

 

出願と審査請求

栄太郎は早速この明細書を見て、OKを出し、ちくま特許事務所から出願しました。

そして、間髪を入れずに審査請求しました。

 

11ヶ月後、拒絶理由通知がちくま特許事務所経由で送られてきました。

 

拒絶理由通知書

拒絶の条文

特許法第29条第2項

 引用文献1)古代ギリシャの伝承とドイツの「シルレル」の詩

 引用文献2)古代ギリシャピタゴラス派の教団員の間の団結の固さを示す逸話

 引用文献1と引用文献2を組み合わせれば、本願のストーリーになる。

 

特許法第29条の2

 引用文献3)檀一雄の『小説 太宰治

 引用文献3のネタは太宰くんが発案するまえの事件であって、檀一雄の『小説 太宰治それを元には書かれている。

 

特許法第36条第6項第1号(サポート要件違反)

 請求項1の「ヒッチハイクしたりして」は実施例のどこにも書かれていない。

 したがって請求項1は明細書にサポートされていない。

 

①の文献は予想通りです。

②については、検索した時点では公開されていなかったので仕方ないのかも。

③については、盛りすぎがバレたようです。

 

さてどうしましょう?

これに対応する書類については後日公開します。

 

どうですか?

技術的な特許明細書を、無理やり文学作品に置き換えてみました。

これで、特許の仕事を身近に感じてもらえれば幸いです。

 

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。<(_ _)>

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