今年度のはじめ(2017年4月)から拒絶理由通知の応答期間の延長に関する運用が変更になっています。
何度か使ってみて、なかなか便利だったのでご報告。
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バックリ言うと
対応する特許庁のリンクは、
特許出願及び商標登録出願における拒絶理由通知の応答期間の延長に関する運用の変更について (平成28年4月1日開始) | 経済産業省 特許庁
になりますが、バックリと説明すると、
通常、特許出願をし、審査請求を行った場合、審査の結果として、拒絶理由通知が出願人の手元に送られます。
まれにそのまま特許査定となる場合もあります。→一発特許査定を喜ぶなかれ
ほとんどの場合、拒絶理由通知が出されるので、特許を取得したければ、この拒絶理由通知に応答しなくてはなりません。
この期限は拒絶理由通知の発送日から60日と決められています。
従来から応答期間の延長は出来ましたが、「合理的な理由」が必要だったのです。
それが、運用の変更により、「合理的な理由」なしに2月延長ができるようになりました。
「合理的な理由」というのは、実際にはとても高いハードルだったので、この制約がなくなったのは画期的です。
更には、なんと期限が切れてからも延長できてしまいます。
特許庁の資料から抜粋
期間延長請求書の手数料は期限切れ前なら2,100円、期限切れ後なら、51,000円となります。
金額が全く違うので、延長するならさっさと腹を決めたほうが良さそうです。
どんなとき使うの?
合理的な理由は不要なので、「ウッカリしちゃった、テヘ!」でもOKです。
でも、それでは後ろ向きですよね。
私が使ったのは次の2つのパターンです。
その1(応答予定の方針では急遽ダメだとわかったとき)
応答する方針が決まってあとは提出するだけの状態になったとき、類似の案件の拒絶理由通知の内容から、この応答方針ではダメだと解るときがあります。
短期間で練り直すのが無理だと判断して期間延長請求書を提出しました。
その2(類似の案件を一緒に処理したいとき)
その1に似ていますが、審査請求したタイミングから類似の出願Aと出願Bが同時期に拒絶理由が来ることが予測されるときがあります。
出願Aの拒絶理由が来ているのに出願Bが来ていない。
もうすぐ出願Bの拒絶理由が来そうだというときに、出願Aに対して期間延長請求書を提出して足並みを揃えました。
この制度のデメリットは?
公式には何も言われていませんが、私は、自分の経験から、
「拒絶査定が出されるのが遅れる」
というのがデメリットだと考えています。
今までは、60日の日限を過ぎてしまえば、延長できなかったので、応答がなかった場合に、すぐに拒絶査定を打っても問題なかったのです。
しかし、この運用の変更により、60日+2月待たないと応答なしでも特許庁は拒絶査定が打てなくなりました。
例えば、この審査官はダメだから拒絶査定不服審判に持ち込もうと考えていても、特許庁の応答が遅くなってしまいます。
注意点
期間延長後の日限の計算に細心の注意が必要です。
普通、代理人さんは拒絶理由通知の発送を火曜日に受けています。
これは、発送日が火曜日の場合、60日後は土曜日になるからです。
日限を計算する際に、休日は日限としないという決まりによって、日限が月曜日に伸びるというのがそうする理由です。
つまり、合法的に期間を62日に伸ばしているのです。
期間延長2月は、元々の(ガチの)期限の土曜日を基準に延長するので、ウッカリ月曜日を基準に日限を計算すると間違いになります。
その点をよ~く考慮して計算してくださいね。
また、上記の文章の中で60日と2月を使い分けていますが、この使い分けについては、原稿を改めて説明したいと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
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