今日の話は、特許におけるもっともお手軽な防衛の手段です。
なんてったってたった700円しかかかりません。
まず、バックリ言うと確定日付とは「その日にその資料が確かにあった」という証明です。
これが、どうして特許の防衛に役立つかといえば、他社(他者)が特許の権利主張をしてきたときに、「その特許の出願前に当社(私)はその技術を使ってました」と主張できるからです。これを先使用権(せんしようけん)といいます。
先使用権が認められると、特許の実施料を支払わなくて良くなります。
複数枚の文書の場合は、封筒に厳重に封印して、公証人役場で、封印に確定日付印を押してもらいます。封印が破られない限りは、その日付にその資料があったという証拠になります。
注意しなくてはならないのは、封印を開いて中身を開くのは裁判所でのみ許されるということです。それ以外の場所で開封するとパアです。
これがなぜ有効であるかというと、最近「DVD-R」で確定日付を取ってもよいことになったからです。
私も昔は、自社の製品の情報を冊子に加工し(当然、中身を見ることが出来るものの改変できないようにしてあります)、ダンボール箱イッパイにして、公証人役場に運んでいました。もちろん冊子の数×700円のコストがかかっていました。これが、封筒1つになったので画期的です。
中身は、
製品の3DのCADデータ、仕様書、取り扱い説明書、写真
電気ハードウエアの回路図&仕様書&部品リスト、
ソフトウェアの仕様書&ソースコード
などなどです。
コツというか守るべきことは、
1.最低限20年は保管する必要があります。それに耐えうるメディアを選択する必要があります。
2.上記の理由により、3DのCADデータなどは、将来そのCADが滅んでいる可能性がありますので、色々な方向から見た画面を、JPGのデータやpdfのデータで作っておきます。
3.必ず2セット作成し、保管用(確定日付印付)と閲覧用(封印しない)を作ること。
上記のメディアについては色々調べました。そしたら、日経ほにゃらら(覚えてない)の記事に「名の通った日本のメーカの日本の工場で作成したものが、加速テストの結果100年の保存に耐え得る」とありました。具体的なメーカは言わずじまいです。
そこから類推するに日立マクセルか太陽誘電の国内工場産を選べばよいと思います(しかし太陽誘電はDVD-Rから撤退したから、入手困難だろうなぁ)。
中国の製品は焼きこんだ数時間後から劣化が始まったそうです。オソロシイ!
どうです。最悪の場合、製品の販売/製造の差し止め、もしくは、ん億円の支払いになる可能性をたった700円+αで防衛できます。
知財部門の皆さん、新しい施策を求められたとき、これを提案してはいかがですか?
ただし、「今頃こんな提案をしやがって!」と叱られるかも・・・。
でも、やらないよりはやったほうが絶対良いです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
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