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「意識高い系」って言葉をご存知ですか?
上記のウィキペディアによると
「意識高い系とは、自分を過剰に演出するが中身が伴っていない若者、前向き過ぎて空回りしている若者、インターネットにおいて自分の経歴・人脈を演出し自己アピールを絶やさない人などを意味する俗称である」
とのことですが、私の中では、
「勉強熱心で、その成果を披露したがるものの自分の足元が見えていない」
と定義しています。
一緒ですかね?少なくとも同類ですよね。
実は、面接審査で、そんな審査官に出会ったのです。
特許のことがわからなくても、「意識高い系」の迷惑物語として読んでいただければ嬉しいです。
- まず、拒絶理由通知
- 審査官に直接電話すると
- 面接前のリサーチ
- 以上のことから私の”元営業マンの勘”がささやきました
- 事前に送る資料は?
- いざ面接審査
- 第2ラウンドでは電話にて
- 結果はどうなるかはわかりませんが
まず、拒絶理由通知
普通、拒絶理由通知書は、審査している本願と、検索して出てきた引例1と、引例2を比較して、
「本願と引例1との一致点は、AとBとC」
「相違点は、DとEとF」
「しかし相違点、DとEとFは、引例2に書かれている」
「だから引例1と引例2を組み合わせるとあなたの特許出願と同じになっちゃいますので特許法29条第2項(進歩性なし)により拒絶理由通があります」
ってのが普通です。
でもその審査官の拒絶理由通知は、
「本願と引例1との一致点は、AとBとC」
「相違点は、D」
「しかし相違点、Dは、引例2に書かれている」
「だから特許法29条第2項により拒絶理由があります」
となっていました。
オイオイ!EとFはどうなった???!!!
と完全に相違点EとFは無視です。
これで拒絶理由通知になっているの??
本当に特許明細書を読んでくれたの????
という拒絶理由通知書でした。
出願人の知財部員からすれば、何ともモヤモヤする拒絶理由です。
というわけで面接審査を申し込みました。
審査官に直接電話すると
実に気さくな審査官でした。
面接を希望した日は、審査官の都合は問題なかったのですが、面接スペースの混み具合により遅くしか空いてなかったのです、でも、その時間でも快く受け付けて頂きました。
「なんだ、いい人じゃん」
と思っていました。
面接前のリサーチ
同僚A「あの人は変わっている(以降沈黙)」
同僚B「あの人の進歩性の判断基準がわからん!幅が広すぎる」→つまりブレブレ
顧問弁護士(特許庁OB)「御社にも彼の被害者時は多いと思います。
勉強熱心なんですがねぇ。
拒絶理由通知に判例を引用したり、難しい言葉を使ったり・・・。
基本的に拒絶よりの審査官です」
とのことでした。
以上のことから私の”元営業マンの勘”がささやきました
元営業マンの勘が、「これは 意識高い系」と断じています。
つまり、「勉強熱心で、その成果を披露するものの自分の足元が見えていない」だと。
確かに拒絶理由通知には見慣れない宗教寄りの用語「黙示」という用語が使われています。→勉強熱心をアピール
さらに、相違点を見落と(無視)しています。→足元がおろそか
私が、その感想を一緒に面接に行く同僚に話すと、
「そんな人にはどう接すれば良いの?」
と質問を受けました。
「はっきり言って、このような人を少しでも否定してはいけません。
否定した途端に痛い目にあいます。
反論する場合もYes,but法でないといけません」
と答えました。
同僚は、コマゴマと相違点について聞き出そうと思っていたみたいですが、それを行うと審査官の見落としを指摘することになります。
「今回の面接は私に任せて下さい。言葉に詰まったときだけ助け舟を出して下さい」
と同僚にはお願いしました。
事前に送る資料は?
普通なら、
に書いた通り、全案件の補正案と意見書案をFAXで送るのですが、ある疑念があり、一部の補正書案と意見書案のみ送付し、もう一つの手駒は、送付せずにいました。
その疑念とは、「この審査官は、事前に資料を送っても当初の予定の”拒絶”の結論に導くために、検討なしに、自分の理論を固めて来るのでは?」
というものです。
(あとで分かりますが、この疑念は当たっていました)
いざ面接審査
普通の審査官は、(自分の認識が正しいか確認するため)出願人の主張を尋ねます。
しかし、のっけから
この審査官は、面接案件の明細書の図面をきれいに色分けしたものを提示して主張します。
とうとうと、拒絶理由に関する特許の条文(例えば特許法第29条の第1項と第2項の違い)の意義から、海外の特許の制度と日本の特許制度との比較など、まくし立てます。
暫くあっけにとられて聞き入っていましたが心のなかでは、「そんなことは知っとるわい!」、「ここは日本だ!」とツッコミを入れていました。
更には傍らにおいた特許法の解釈の本や、自分が集めたであろう国内外の判例のファイルを持ち出しそうな勢いでした。
やっぱり拒絶の理論武装から来た!
やっぱり、予め決めた拒絶の結論に向かってまっしぐらです。 この特許出願の補正案や意見書の内容は置き去りです。
最初に図面をきれいに色分けしたものを提示したのは、「ちゃんと読みました」っていうポーズです。
読んでないのはそれでわかります。本願のキモはその図面には現れていません。
あかん!コミュ障だ!
つまり、「意識高い系」+「コミュニケーション障害」だ!
ここで、反撃
こうなることを予想していたので、隠していた手駒を出しました。
FAXで送ったものにはない新しい構成を追加する案です。
案の定、説明しましたが飲み込めない様子。
当然、こちらから予想してなかった案を聞いたので、それだけでテンパって考える余裕がないようです。
後日電話をするという言質を取り、その日は退散です。
第2ラウンドでは電話にて
翌日、電話にて返事がありました。
案の定、拒絶方向の回答です。
でも私は引きません。
当然、コミュ障は押しに弱いです。
押しだけでは審査官は頭が良いので、いずれ反撃されます。
反撃をさせないために次々に畳み掛けます。
私:「この構成を追加する効果はなぜ認められないのですか?」
審:「この構成を追加したときの効果が明細書には書かれていないからです」
私:「これは自明です。そもそものこの構成2にはこの効果があり、構成1の効果も明細書に明記されています。これが補強し合うのは自明です」
審:「でも、明細書に書いていないから・・・」
私:「それではどうですか?特許請求の範囲にその構成の作用について作用的な記載を追加するのは?」
審:「それなら、だいぶ違います」(OKとは言わない)
という内容でした。実際は相当長い時間をかけました。
結果はどうなるかはわかりませんが
ここまでは、自分のベストを尽くしました。
本当に結果はどうなるかわかりません。
今日、仕事で、この案件の検討をしながら、ふつふつと怒りが湧き上がって来たので、書きなぐってしまいました。
それほど、この審査官は他の審査官と違うのです。
だめなら審判に持ち込むだけですけどね。
2017/08/18追記
その後について書きました。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
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